SEASON1 第十回目
油彩画の調査方法
絵画の調査の仕方
絵画の調査の際は、まず、絵画が充分平らにしておけるテーブルを用意します。その上に紙または布を敷き、必要に応じて四コーナーにクッションを置きます。調査用ライト・虫メガネ・筆記用具など必要なものも準備します。
次に、作品をその上に置いて額を外します。大きい作品の場合は二人で持ち、クッションの上に静かに置くようにします。
額から絵をはずしたら、両手の手のひらで絵を持ち、机に移動して調査を始めます。
調査の手順
- 普通光で見る。熱を持たない明るい光のもとで行う。
- 斜光線で見る(亀裂や浮き上がりなどの損傷が分かる)。
- 透過光で見る(穴の場所や技法などが分かる)。
- 必要に応じ、実体双眼顕微鏡、UV(紫外線)検査灯下、IR(赤外線)カメラ/写真で観察する。
- 白黒写真、カラー写真、必要に応じてX線写真撮影。
- 必要に応じて素材の科学的分析を行う。
- 状態調査書を作成する。記述は短い文章で簡潔に行う。書かれている文字(木枠上、ラベル)も記録する。チェックリストを用いて空欄をうめる方法で行うこともある(専門用語を覚えておくこと)。
紫外線灯による調査風景
赤外線カメラによる調査風景
状態の記録
絵画と額の寸法の計り方
下記は絵画と額の採寸のための各名称。高さ(H)は左辺で、幅(W)は底辺で計る。表示は、H×Wとする。
絵画調査記録の作成
①番号(№)は必ず入れる。所有者の整理番号、受付番号など。
②調査記録には、記述式のものとマーク式のものがある。専門用語に慣れておくことが望ましい。