SEASON1 第六回目
絵画の種類と素材III(紙作品)
紙を支持体として制作される作品には、素描、水彩画、版画、東洋画、すぐれた文学の本、東洋の書などが含まれます。
- 素描:鉛筆、コンテ、木炭、インクを用いて描画したもの。
- 水彩画:アラビアゴム、トラガカントゴム、密砂糖やそれらと似た水溶性の接着剤を用いて製造された水性絵具(微粒子の顔料を含む)を使用して紙などの支持体に描画したもの。絵具は透明。
- グワッシュ:水溶性のアラビアゴムを媒材として顔料に白亜を混入した水彩絵具。色彩は不透明。これを用いて描いた絵もグワッシュと呼ぶ。
- パステル:パステルは、顔料と少量のメディウムから成るスティックで描く技法である。古代から顔料スティックのようなものは存在していたが、はっきりと絵画技法として認識されたのは18世紀のはじめである。良いパステルのメディウムには、トラガカントゴムが用いられる。
- 版画:イメージを転写または摺刷して製作された絵画である。版画は技法や形式の違いにより、凹凸、凹版、平版、孔版に分けられる。
- 凸版—木版画:版材に木を使用する。木目の違いにより、板目木版と木口木版に分けられる。木口木版には金属版用のビュランが用いられることもあり、より精巧な表現が可能である。北斎、歌麿等の浮世絵が代表例。 木版の版木部分木版画面部分(版木の形にへこみあり)
- 凹版
- エッチング:腐蝕銅版画の製版技法。銅板面を耐酸性防触剤(グランド)で薄くおおい、針で図形を描いて版画の金属を露出させ、腐蝕液をそこに作用させて凹版とし、印刷する。 エッチングの凸凹線アクアチント:基本的にはエッチングの一形式である。松脂や砂糖を版面に撒いて加熱により付着させ、次に酸で腐蝕させ、砂目の版面を作り使用する。アクアチントの柔らかい調子
- ドライポイント:銅版やジンク板を、それより硬い素材のニードルで引っかく。彫り線のまわりで金属片がささくれ(まくれ、バールという)をつくり、このささくれにインクがたまると刷った時に、柔らかで深みのある調子の線が生まれる。ピカソの「貧しき食事」等が代表例。 ドライポイント
- エングレービング:彫刻凹版。ビュランで直接版面に線を彫り、インクを溝に詰めてプレスし印刷する。ドライポイントのようなまくれやエッチングのような腐蝕によるくずれがなく鋭い線での表現が可能。 エングレービングの鋭い線
- メゾチント:版全体をロッカーと呼ばれる道具で傷をつけ、細かい金属のささくれで覆う。そのままインクを盛って刷られた部分はビロードのような感触を持つ。長谷川潔や斉藤カオルの作品群が代表例。 メゾチント
- 孔版:シルクスクリーン。枠に張ったシルクのスクリーンを版に使用する。絵柄以外の部分はインクが通らないように目止めする。その上にインクを盛り、ゴムべらのようなスキージーという道具で押し出すようにして摺る。原版は、スクリーンに専用の材料を使って直接描く方法、型紙をあてるカッティング法、写真製版法等がある。シルクスクリーン。布目見える。(クリックで拡大)
- 平版:リトグラフ。石灰石、亜鉛板、アルミ板などが使用される。水と油の反発作用の応用によりインクののる部分とのらない部分をつくり、摺刷する。リトグラフ。石の目見える。(クリックで拡大)