SEASON1 第七回目
絵画の構造(油彩画・紙本作品)
油彩画の構造
油彩画は、便宜上、大きく四つに分けて考えます。一番下が支持体(木枠含む)、その上に目止め層(サイズ)がもうけられています。目止め層の上にはグランド層(下地)と呼ばれる層があります。グランド層の上は絵具層とよばれ、画家の手による層です。一番表面の層、つまり絵具層の上は画面が乾燥してから塗布される透明なニス層です。ただし、現代美術の場合にあっては、画家の意図により自由に制作されているので、この限りではありません。
油彩画の構造
油彩画の例「男の像」(作者不詳)
「男の像」の絵画層断面(クロスセクション顕微鏡写真)
紙本作品の構造
紙本作品は、紙、サイズの層、インクまたは絵具の層から構成されています。広い意味の紙は、合成繊維から作られたものも含みますが、通常は植物繊維が紙の原料です。紙には場合により紙の柔軟性や平滑性を増すために、炭酸カルシウム、泥、カオリン、二酸化チタンなどの填料が混入されます。サイズはインクや絵具のにじみを防ぐために紙に塗布されるもので、膠と明ばん、松脂と明ばん、松脂をNaOHで鹸化したロジンサイズ、ワックス類があげられます。
インクや絵具層は大きく分けて、油性、半油性、水性の三種になります。
紙本作品の構造