SEASON2-11

株式会社 絵画保存研究所

Art Conservation Lab.

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更新日 2014-11-07 | 作成日 2008-04-01

SEASON2 第十一回目

日本画の修復①

今回は、伝統的な日本画の修復について取り上げます。

伝統的日本画の修復は、多くの場合、十数年以上の経験を積んだ表具師と呼ばれる人たちによって行われています。また、重要な美術品の調査および処置については、国が作成した規則も設けられています。下記がその規則の要約です。

  • 調査のために作品からサンプルを採取してはならない。
  • 調査は非破壊検査で行う。
  • 修復はオリジナルの現状維持を守り、図柄への加筆や変更を行わない。
  • 重要美術品の修復は、国が指定した業者が行う。
  • 修復は、耐火構造の建物の中で行う。
修復の手順の一例
①剥落止め膠を用いて絵具の剥落等をおさえます。
②解体剥落止め終了後は、解体を行います。裏打ちは全て取り除き、支持体のみにします。この時、古い繕い(補絹、補紙)も取り除き、オリジナルのみにします。
35kaitai.jpg解体
③補絹、補紙本紙の欠損部を類似した材料で繕います。絹本については、現在電子線(ベータ線)による人工劣化絹を使用しています。絹をその欠損部の形に切り、はめ込みます。
35hoken01.jpg補絹
35hoken02.jpg補絹後(クリックで拡大)紙本については、欠損部の形より少し大きめの和紙を裏から貼り、周囲の重なりを削り取ります。最終的にその箇所に補彩を行います。補彩では、線や描かれている色彩は加えずに地色のみを塗ります。。
35hoshi01.jpg補紙(クリックで拡大)
35hoshi02.jpg補紙用に切り抜いた紙
④表装技術補絹、補紙完了後は、それぞれの形態によって表装の工程を進めます。折れの目立つ作品では、肌裏の後、折れ伏せを加えます。