SEASON2-17

株式会社 絵画保存研究所

Art Conservation Lab.

| HOME | コレクター大学 SEASON2 | SEASON2 第十七回目 |

更新日 2014-11-07 | 作成日 2008-04-01

SEASON2 第十七回目

油彩画の額装

今回は、油彩画の額装について取り上げます。

油彩画の額装の場合も、紙作品の額装の場合と同じように、まず、絵の寸法に合った額を選びます。特に、板絵の場合は、板が吸湿性であり、外界の湿度の変化に応じて伸縮を繰り返すので、その動きを妨げないだめの余裕をとっておくことが必要です。

油彩画の場合は、額の前面にガラス(アクリル板の場合もあり)を入れる場合も入れない場合もあります。油彩画にはニスが塗布されていることが多く、ニスが画面の保護の役割をしているので、必ずガラスが必要というわけではないからです。ガラスを入れた場合、額内の空気が動きにくくなり、カビが生えやすくなるなどの難点はありますが、汚れの付着を軽減させることが出来るという利点もあります。額を密閉して湿度を一定に保つ調湿額とする場合には、ガラスは不可欠となります。

また、額縁に絵をそのまま入れると、額縁と絵が接触した部分に擦れや傷が生じることがあります。これを防ぐための方法として、メタル材を絵の側面に取り付ける方法や額縁の内側にフェルトを貼る方法があります。
41oil01.jpgメタルガードを絵の縁につけてから額に入れる。ばねのように曲げたT字金具を額につけ絵をとめる。

額に絵をとめる際の材料としては、錆びない金属のとめ金を用います。釘を使用すると、釘が錆びたり絵と額の隙間に落ちたりする危険があるからです。 とめ金は、絵や額の大きさに合わせて選びます。とめ金をS字型にペンチで曲げ、一端をネジで額裏面にとめ、もう一端がバネのように働いて絵を支えるようにします。

額又は絵の裏面には、裏板を取り付けます。裏板は裏面から絵に与えられるショックや埃から絵を守ってくれます。裏板の材料は様々ですが、段ボール構造の中性紙ボードやポリエチレンボードなど、軽くて丈夫なものが選ばれます。
41oil02.jpg額の裏には軽いボード(この場合はアーカイバルボード)をマジックテープでとめる。通気のため三角形の穴をあけておくとよい。

額装が終わったら、冷暖房の風が直接当たる場所や直射日光が当たる場所を避けて絵を掛けます。